- 1.原料
- 長洲蒸留蔵 久保の原料は、すべて地元宇佐で収穫された裸麦、”一番星”を使用しています。
この麦焼酎のこだわりのひとつです。
- 2.仕込み水
- 宇佐平野を流れる驛館川の伏流水を地下からくみ上げ、仕込み水として使用しています。
硬水のこの水は、ミネラルが豊富に含まれ、仕込み水として最適です。
- 3.浸漬
- ネットに裸麦を入れ、適度な水分を含ませる為、水または温水の中に一定時間浸け込みます。
- 4.水切り
- 浸漬が終わったら、裸麦を水から取り出し、ざるや箱の上に置いて余分な水気を切ります。
浸漬時間、水切り時間は水温や時期、原麦水分等に応じて変えてきます。
- 5.蒸麦
- 裸麦のデンプンを”α化”(糊化ともいう)する為”こしき”と呼ばれる蒸し器に移し、蒸し上げます。
蒸煮中は”こしき”に帆布を掛け、そのふくらみ状態、布を抜ける蒸気の様子を見ながら、蒸しの管理を行います。
- 6.放冷
- ”こしき”から蒸し麦を掘り出し、放冷台車に移します。
まだ熱い麦を人海戦術で台車に広げ、適温になるまで温度を下げていきます。放冷温度は麹用と掛け麦用で異なり、 目標とする即時温度となるよう、その時々で変えていきます。
- 7.製麹工程 其の一
- 製麹工程は、焼酎を造るために欠かすことのできない醸造菌のひとつ、麹菌を育て”こうじ”を造る大切な工程です。
この蔵では”ムロ”と呼ばれる麹造り専用の部屋で約3日間かけて”こうじ”を造ります。
蒸した麹麦を”ムロ”内にある床に盛って、種麹を振りかけます。
久保に用いている種麹は白麹菌で、麦焼酎では一般的なものです。
麹菌が繁殖し活動を始めると、麦の表面が白く変化していきます。
これが白麹と言われる所以でもあります。
- 8.製麹工程 其の二
- この焼酎の2つ目のこだわりは、手造りでの焼酎造りです。
”こうじ”造りでは、一切機械やコンピュータに頼ることなく、3日間人手だけで管理していきます。
製麹中は麹菌対蔵人、まさに真剣勝負です。
焼酎造りにおける麹の役割は大きく、”こうじ”が持つ各種酵素は、酵母のアルコール発酵には不可欠で、”こうじ”が生産するクエン酸は、健全な発酵ができるように醪を雑菌による腐造から守ってくれます。更に、”こうじ”自体が製品への 香味の関与をしているとも言われています。
- 9.一次醪工程
- この工程は出来上がった”こうじ”と、仕込み水に焼酎酵母を添加して、健全でかつ強靭な酵母菌を多量に育てる目的があります。仕込み期間は約5日間で、その間朝夕の櫂入れ、検温、状貌観察などを行います。
健全かつ強靭な酵母菌が存在するこの一次醪のことを、”酒母”とも言います。
- 10.二次醪工程
- 一次醪工程で育てた健全で強靭な”酒母”に仕込み水を加え、酵母菌の栄養源となる蒸し麦を掛けて
約11日間アルコール発酵させます。二次醪では、”こうじ”由来の各種酵素が、蒸し麦の”α化”デンプンをブドウ糖まで変え、それを酵母菌が取り入れて、アルコール発酵します。
醪管理は一次醪工程と同様に、朝夕の櫂入れ、検温、状貌観察です。仕込んでから蒸留前まで、二次醪の様子は日数ごとに変化していきます。
蔵人はその変化が順調かを見極め、時として、醪の冷却や加温といった操作も行います。
- 11.蒸留工程
- 発酵を終えた二次醪を常圧蒸留機にかけ、いよいよ久保の原酒が誕生します。
蒸留の終盤に発生する焦げ臭要因を少なくし、クリアで裸麦の甘さが先行するように、直接蒸気を吹き込み、 低圧力で蒸留を行っています。
常圧蒸留の特徴は、醪を大気圧下で蒸留するため、醪に含まれる低、中、高沸点の揮発性成分が豊富に原酒に移行します。
それによって、原料特性の生きた個性的で、芳醇な原酒となります。
常圧蒸留で原酒を得ること、これも久保のこだわりのひとつです。
- 12.冷却ろ過工程
- 久保のこだわり、最後はこの冷却ろ過工程にあります。
原料の良さを十分に引き出す為、過度なろ過を控えました。
ただし、冷却温度は氷点下とし、余分な油性成分だけは除去しています。ろ過はろ紙による粗ろ過で、冷却によって 固形化した油性成分だけをキャッチするようにしています。
- 13.貯蔵熟成工程
- 久保の熟成期間は6ヶ月以上で、ホーロータンクで常温にて貯蔵しています。こうして寝かせた久保の原酒は、丸みが増し、とても上品な甘さを持ち、裸麦の芳ばしさも兼ね備えたものとなっています。
- 14.瓶詰め工程
- 久保の原酒はアルコール度数が40度前後ある為、和水をして25度の規格酒を作ります。
和水直後はアルコールと水が馴染んでいないので、久保の和水は必ず瓶詰めの2日前に行うと決めています。
また、不要な油性成分は冷却ろ過の段階で除去しているので、精製ろ過等の最終ろ過は行っていません。
- 15.麦の華
- それにより、瓶詰め後の温度変化によって、製品中に綿状の沈殿物や浮遊物が発生しますが、これは”麦の華”と呼び、クオリティの一部と考えています。
この成分は久保の旨みのもとであり、取り除いてしまうと、まったく別の顔になってしまいます。